財団法人福井県文化振興事業団

刊行物案内
季刊ブンカ VOL.22 AUTUMN 2006

CONTENTS

■Essay
 歌があって 人があって・・・・・・
  福井大学教育地域科学部教授 松濱 敏郎氏

■Top Interview
 文化の育みには時間が必要
  新道繊維工業株式会社 代表取締役社長 新道 忠志氏

■ブンカのトビラ
 モーツァルトの魅力
  ヴァイオリニスト 徳永 二男 氏

ESSAY & TOP INTERVIEW

ESSAY
歌があって 人があって・・・・・・

福井大学教育地域科学部教授
仁愛女子短期大学非常勤講師
 松濱 敏郎氏

「言葉では表現出来ない過度の感覚に表現を与えるものとしての音楽」大作曲家R.シューマンが音楽家を志す切っ掛けとなった言葉であります。
 私は幼少期、いつも母のスカートの陰に隠れているような、ものを言えない子供でありました。その私に転機が訪れたのは小学校の3年生のときです。4年生からは音楽の専科の先生が音楽の授業を担当して下さることになっていた小学校でありましたが、3年生最後の頃、その松井宏一郎先生が音楽の授業をして下さったのでした。
「松濱君出ておいで」驚きで脚がガタガタと震えながらも、指示に従っておずおずと出て行った私に、先生は「一緒に輪唱をしよう」とおっしゃるのです。二度びっくり。しかし覚悟を決めて、先生と一緒に心をこめて歌い切りました。すると、「お〜っ」という歓声とともに、級友らの大きな拍手がかえって来たのです。私は、このとき初めて、心から何かが出て行ったということを強く感じ、級友らの反応とともに強く記憶に留めております。この経験をしてからというものは、人前で歌を歌うについては、あらん限りの心を込めて歌う自分を私は見出すようになったと思います。


TOP INTERVIEW
文化の育みには時間が必要
 新道繊維工業株式会社 代表取締役社長 新道 忠志氏

 世界に認められる商品を生み出し、次々と新分野へと挑戦する企業。服飾繊維業界では、「新道繊維工業株式会社」がそれにあたります。新道繊維を世界有数の企業として育てあげ、多忙を極めている新道さんは、仕事同様にプライベートも充実させています。
「子どもの頃から映画が大好きで、若い頃は週末に映画の脚本を書いたり、俳優と話をしたり、映画に没頭していましたね」
 映画が好きな新道さんは37年前、服飾のメッカ、フランスのリヨンへ旅行。
 当時、日本では誰もが同じような服装であった一方、ヨーロッパでは個性を重視。様々なデザインの洋服を素敵に着こなす外国の人に、新道さんは感動したと言います。そしてその後、得意の絵画のセンスを生かし、自らチロリアンテープのデザインなどを手がけ、好評を博しました。

ブンカのトビラ

徳永二男氏(ヴァイオリニスト)が語る
「モーツァルトの魅力」

東京交響楽団の最年少コンサートマスターとして、ヴァイオリニストの人生をスタートさせた徳永二男さん。長年、NHK交響楽団のコンサートマスターを務めるほか、ソリストとして、音楽プロデューサーとして、大学教授として、室内楽の普及と発展に尽力し、名実ともに日本を代表するヴァイオリニストとしてのゆるぎない地位を誇っています。
12月10日(日)にハーモニーホールふくいにて開催される「珠玉のモーツァルト名曲集」コンサートを前に、ヴァイオリンとモーツァルトの魅力についてお伺いしました。

 日本に西洋音楽が入ってきて間もない頃。19世紀にヨーロッパで熟成期を迎えていたクラシックは、日本では、まだ海外のものとして、なじみの薄いものでした。
「当時、私の父は中学生で、九州の福岡にいました。ある日、偶然にクラシック音楽にふれる機会があり、魅せられてしまったのでしょう。一念発起し、高校から東京に上京。アルバイトをしながら音楽の勉強を始めました。お金に困って必死にアルバイトを探し、音楽関係の仕事と勘違いして、ちんどん屋に入ってしまったこともあったといいます」


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